多忙な人も「隙間時間」でスピーディに手術可能
白内障手術の技術的進歩に伴い、手術を日帰りで行うことが一般的になってきました。また最近では、患者さんのご希望により両目同時の日帰り手術も多く行われるようになり、忙しいビジネスマンの方を中心に人気となっています。
かつては「おおがかり」で「入院必須」だったが…
今世紀初頭まで、白内障手術は入院して受けるのが一般的でした。濁った水晶体を原形のまま摘出し、眼内レンズを挿入するため、眼球表面の角膜を11~12cmほど大きく切開していていました。当然、切開創を縫合していたのですが、それでも術後の出血が少なくなく、入院して絶対安静を保つ術後管理が必要だったからです。
いまや「入院不要」で「即・社会復帰」が可能に
その後、年を追うごとに白内障手術は飛躍的に進歩しました。水晶体を細かく砕いて吸引する超音波乳化吸引術が普及したことで、水晶体をそのままの形で摘出する必要がなくなりました。また、折りたたんでコンパクトにしたまま入れられる眼内レンズが登場したことや、フレキシブルな耐久性のある素材も次々と開発されたことから、切開創が小さくても手術ができるようになりました。切開創は10mm前後から6mm、3mmへ、最近では2mm前後まで小さくなっています。
角膜の切開創が小さくなっていったことで、手術による出血が少なくなっただけでなく、術後の傷口の縫合が不要になり、術後眼内炎などの合併症のリスクが劇的に下がりました。つまり、入院による術後管理の必要がなくなったのです。術後の回復も早く、患者さんの社会復帰も早期にできるようになりました。
白内障手術が進化していった結果、現在では日帰りで片目ずつ、2回に分けて手術を行うのが一般的になりました。
初診時に「患者さんの都合優先」で手術日を決定
さらにここ数年では、両目同時に手術することも増えてきています。
両目同時に手術をするからといって、「その日は目が見えない」ということはありません。片目のみの手術と同じように、手術後10分ほど休んだ後、お帰りいただくことができます。
手術直後は瞳孔が広がった状態なので、見え方が鮮明ではありませんが、歩けないようなことはありませんし、4~5時間で元に戻ります。
両目同時手術は1回ですむので、忙しいビジネスマンの方や、地方から手術のために上京して来られる患者さんに人気の手術です。
当院では、手術日を決定するにあたり、患者さんのご希望を優先しています。
基本的に「両目同時」に「日帰り」で手術ができる医療施設であっても、手術日はその医療機関の都合が優先されがちです。手術のためにスケジュールを調整しなくてはなりません。
当院では、初診時に必要な検査をすべて行い、カウンセリングをして、手術で使う眼内レンズを選んでご説明し、手術の日程まで決めることが可能です。2回目の来院時に手術できるため、非常に柔軟でスピーディです。多忙なビジネスマンの方でも、介護のため長く家を空けられないといった主婦の方でも安心して手術を受けることが可能です。
手術翌日は術後検査のために来院していただく必要がありますが、翌々日の検査は勤務先やご自宅近くの眼科で受けていただければ問題ありません。


著者:佐藤 香
アイケアクリニック院長、アイケアクリニック東京院長。集中力を要する緻密な作業を得意とし、とくに最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア――「トータルアイケア」の提供を目指す。現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。著書に『目は若返る』『スゴい白内障手術』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。