【ニーズ別】おすすめの多焦点眼内レンズをご紹介!
眼内レンズとは、白内障手術の際に取り出した水晶体の代わり挿入する人工の水晶体のことです。「多焦点眼内レンズ」は、近方と遠方にピントが合わせられた「2焦点眼内レンズ」、近方と遠方に加え、その中間にもピントが合わせられた「3焦点眼内レンズ」、中間から遠方まで見える焦点深度拡張型レンズ(EDOF)の3種類があります。
多焦点眼内レンズには様々な製品があり、同じ2焦点、3焦点、EDOFでもそれぞれに見え方の特徴があり、自分に合ったものを選ぶのに迷ってしまうという方も多くいらっしゃいます。
そこで、今回は患者さんのニーズに合わせておすすめの多焦点眼内レンズをご紹介します。
車を運転する機会が多い方に向いたレンズ
車の運転をする際には、遠くの道路状況や標識がよく見える必要がありますし、ライトがまぶしく感じたりにじんで見えたりするハロー・グレアの少ないレンズを選ぶ必要があります。
車の運転に適した多焦点眼内レンズは以下の通りです。
・PanOptix(パンオプティクス:国内承認レンズ)
・Activefocus(アクティブフォーカス:国内承認レンズ)
・Acriva Trinova(アクリバトリノバ:国内未承認レンズ)
・Mini Well(ミニウェル:国内未承認レンズ)
中でもMini Wellは、ハロー・グレアがほとんど発生しないのが特徴で、夜間の運転に最も適した多焦点眼内レンズと言えるでしょう。
仕事で色味を確認する機会が多い方に向いたレンズ
多焦点眼内レンズの中には、色のコントラストが綺麗に見えるものとそうでないものがあります。職業上、色を判別しなければならない方には以下のレンズがおすすめです。
・Lentis MplusX(レンティス エムプラスエックス:自由診療)
・Mini Well(ミニウェル:自由診療)
・Ray One Trifocal(レイワン トリフォーカル:自由診療)
以前は歯科医の方が白内障治療で多焦点眼内レンズを使った手術を行うことは禁忌とされていました。これは多焦点眼内レンズを入れることで色のコントラスト感度が低下してしまうことがあったためです。現在では上記のような眼内レンズが登場したため、実際に多焦点眼内レンズを使った治療を受ける歯科医の方も増えてきています。
アクティブにスポーツを楽しみたい方に向いたレンズ
テニスやゴルフなど、アクティブにスポーツを楽しむ趣味を持つ方なら、中間(60cm~1mほど)~遠方が見やすくなる以下のレンズがおすすめです。
・PanOptix(パンオプティクス:国内承認レンズ)
・Activefocus(アクティブフォーカス:国内承認レンズ)
・Ray One Trifocal(レイワン トリフォーカル:国内未承認レンズ)
・Mini Well(ミニウェル:国内未承認レンズ)
・Acriva Trinova(アクリバトリノバ:国内未承認レンズ)
手術後に運動を再開するタイミングは、医師によく相談して指示に従うようにしてください。また、頭部に強い衝撃を受ける可能性のあるスポーツ(格闘技、サッカーなど)は、衝撃によって手術で挿入した眼内レンズがズレてしまうことがありますので、注意しましょう。
年齢別おすすめの眼内レンズ
患者さんのニーズの他にも、年齢によっておすすめする多焦点眼内レンズが異なることがあります。
例えば、30~40代の比較的若年層の方にはMini Wellをおすすめすることがあります。Mini Wellは、近方・中間・遠方も見やすく、コントラストもよい欠点の少ない眼内レンズです。
年配の特に女性の方には、PanOptixがおすすめです。ハロー・グレアが出ることがあり、コントラストもMini Wellなどと比較すると見劣りしますが、近方視力に優れているからです。
また、80~90歳代の高齢者の方には、あえて2焦点眼内レンズやEDOFをおすすめすることがあります。これは、80~90歳代の高齢者の方に3焦点眼内レンズを挿入すると、突然目から入る情報量が増えて混乱されてしまうケースがあるからです。
このように、患者さんの年齢も眼内レンズを選ぶ重要な基準の一つなのです。
豊富に揃う眼内レンズから最適なものを選べるアイケアクリニック
当院では国内承認レンズ、未承認レンズ(どちらも自由診療)を含めて20以上もの多焦点眼内レンズを取り扱っています。このように特徴の異なる複数の眼内レンズを揃えているクリニックは非常に稀なのですが、これを可能にするためには、医師のカウンセリングはもちろん、検査員の存在も大切です。
一つひとつの多焦点眼内レンズの見え方や優れた点、さらには欠点を事細かに理解した検査員が詳細に検査し、分析するからこそ、常に最新のレンズを取り入れ導入することが可能なのです。
患者さんの症状や見え方、術後の生活のご希望を丁寧なカウンセリングで聞き出し、お一人おひとりに最適な眼内レンズ、手術をご提案いたします。
白内障治療でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談にいらしてください。


著者:佐藤 香
アイケアクリニック院長、アイケアクリニック東京院長。集中力を要する緻密な作業を得意とし、とくに最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア――「トータルアイケア」の提供を目指す。現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。著書に『目は若返る』『スゴい白内障手術』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。