眼内レンズはなにでできているのでしょうか? アレルギー体質でもつけられますか?
ご相談者様

目の中へ人工物を入れることに抵抗感があります。花粉症があるのですが、レンズが体質に合わず症状が悪化することはあるでしょうか。また、目をこすったときにレンズがずれる、割れるということが起きないかも心配です。
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レンズの素材はISOという国際基準に則って作られており、安全性をはじめさまざまな試験をクリアーしています。生体への適合性にも優れており、レンズでアレルギーを起こす心配はまずありません。ほとんどが柔らかいアクリル製で、手術の際、折りたたんで入れることが可能なため2mm程度の小さい切開ですむのも利点です。
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体質に合わないということはまずないのですね。入れた後、劣化はしないのですか?
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眼内レンズの寿命は長く、一度入れれば一生持つと考えていただいて構いません。遺伝が関係して若いうちから白内障になってしまう先天性白内障のケースでは、小さなお子さんに眼内レンズを入れることもあります。
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目の中でレンズが破損したり、ずれたりする心配もないのでしょうか。
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外傷でレンズに不具合が起こるケースはゼロとはいえませんが、ふだんの生活の中で、そのようなことが起こる心配はまず不要です。
眼内レンズは嚢(のう)といって、もともと水晶体が入っていた薄い透明な袋の中に挿入し、固定します。そして嚢はチン小帯という組織で支えられています。術後に嚢が収縮して形が変わってしまったり、チン小帯がゆるんだりするとレンズがずれることはありますが、こういったケースは非常に稀です。 -
それなら安心して手術が受けられそうです!
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ただ、花粉症による目のかゆみは抗アレルギー薬を使うなどして抑え、こすらないようにすることが、眼内レンズに限らず、目の健康全体にとって大切ですね。
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そうですね。こすらないよう気をつけます。
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患者さんの目の状態はさまざまで、嚢やチン小帯の状態によってはより慎重に手術し、万一のトラブルが起こらないようにしなければなりません。特に、嚢がチン小帯から外れて目の奥に落ちてしまうと、硝子体手術という非常に難度の高い手術が必要になります。
ケースは少ないものの、もともとチン小帯が弱い方などでは、白内障の手術時にも起こりえます。こうしたことから、白内障手術を検討する際は、経験豊富で硝子体手術もできる医師を選ぶのが賢明です。受診の参考になさってください。
まとめ
眼内レンズはISO(国際標準化機構)に則って作られており、安全性をはじめさまざまな試験をクリアしています。生体への適合性にも優れており、レンズでアレルギーを起こす心配はまずありません。素材はほとんどが柔らかいアクリル製であり、手術の際は折り畳んで入れることが可能。切開は2mm程度の小ささで済みます。
眼内レンズの寿命は長く、一度入れれば一生持つと考えていいでしょう。先天性白内障のケースでは、小さなお子さんにも眼内レンズを入れることがあります。
外傷によって眼内レンズがズレる等の不具合が起きる可能性はゼロとは言えませんが、普段の生活でそのようなことが起こる心配はまず不要。ただ、花粉症による目のかゆみは抗アレルギー薬を使うなどして抑え、こすらないようにすることが眼内レンズ使用者に限った話ではありませんが、目の健康のために重要です。
なお、万が一、嚢(のう)がチン小帯から外れて目の奥に落ちてしまうと「硝子体手術」という非常に難度の高い手術が必要となります。そのような事態を招かないためにも、白内障手術の経験が豊富で硝子体手術もできる医師・クリニックを選ぶのが賢明です。


監修:佐藤 香
アイケアクリニック院長、アイケアクリニック銀座院院長。集中力を要する緻密な作業を得意とし、とくに最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア――「トータルアイケア」の提供を目指す。現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。著書に『目は若返る』『スゴい白内障手術』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。