最近、急に見えづらくなりました。白内障でも症状が急激に進行する場合はありますか?
ご相談者様

最近、急に視力が落ちたように感じます。気になってネットで調べたところ、モヤがかかったような見え方や、光がまぶしく感じるなど、白内障の症状と重なる部分がいくつもあって心配になりました。現在45歳なので、まだ白内障になる年齢ではないと思いますし、白内障の症状は徐々に進行していくものだと聞いているので私には該当しないと思うのですが…。白内障にも症状が急速に進む場合があるのでしょうか?
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モヤがかかったような見え方がするなど白内障の症状と重なる部分がある場合は、ぜひ早めの受診をおすすめします。受診すれば白内障かどうかがすぐにわかりますし、そうでないとわかればひとまず安心です。反対に、患者さんが感じられるという視力の急な低下が「急速に進行する白内障」によるものであるとわかれば、早期発見・早期治療に繋がります。結果がどうあれ早めの受診は重要です。
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白内障はゆっくりと進行するものではないのですか?
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白内障の多くは「加齢性白内障」といい、年齢とともに進行するものです。おっしゃるように進行がおだやかで、60代以降になって見え方に影響が出てくる白内障がこちらです。しかし、年齢に関係なく急激に進行し、早急な治療が必要となる白内障もあるのです。
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年齢に関係なく急激に進行する白内障…。それはどのようなものでしょうか?
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代表的なものは、目に怪我をしたことで白内障になる「外傷性白内障」です。たとえばボールが目にぶつかった、作業中や運動中に目の付近を強く打撲したなど、強い衝撃により眼内の水晶体がダメージを受け、水晶体が混濁していきます。混濁が始まるタイミングは、外傷を負った直後ということもあれば、数ヵ月後、数年後ということもあります。発症の時期はまちまちですが、いったん症状が出始めると急に進行するというケースが少なくありません。
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目に強い衝撃…思い当たることがありません。私には該当しないと思います。
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「外傷性白内障」だけでなく、「アトピー性白内障」や「糖尿病白内障」「ステロイド薬による白内障」なども進行が急なケースが少なくありません。「アトピー性白内障」は、目の周囲に湿疹ができたために痒くて掻く、強く叩く、こするといった刺激を繰り返すうちにダメージが蓄積されて白内障になる、といわれていますが、発症のメカニズムはよくわかっていません。20~30代ぐらいの若い患者さんが多い点が特徴的です。「糖尿病白内障」の場合も、加齢現象よりも早めに発症し、若年者でも高血糖が続くことで、進行のスピードが速く、手術が必要になることもあります。
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白内障にも、若い方が多く患うものがあるのですね。
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「ステロイド薬による白内障」は、全身疾患で使用する内服薬、喘息などで使用する吸引薬などによるものが知られています。服用期間が長くなるほど発症のリスクが高まる傾向があります。発症すると進行が早く、数ヵ月から1年程度で手術が必要になるほど視力が低下することが特徴です。いずれの白内障もコントロールが悪い場合は白内障が急激に進行することがあります。症状が顕著に現れて受診し、白内障が発見されるというケースが多いですね。
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初めて聞く白内障もあってなかなか理解がむずかしいところもありますが、私にも可能性がないとはいいきれないのですね。早速受診して、白内障かどうか調べてもらおうと思います。ありがとうございました。
まとめ
白内障の多くは「加齢性白内障」といい、年齢とともに進行し、60代以降になって見え方に影響が出てくるものです。しかし、年齢に関係なく急激に進行し、早急な治療が必要となる白内障もあります。代表的なものは、目の付近を強く打撲したなど、強い衝撃により眼内の水晶体がダメージを受けることで白内障になる「外傷性白内障」です。混濁が始まるタイミングはまちまちですが、いったん症状が出始めると急に進行するというケースが少なくありません。これ以外にも進行が急なケースがあります。「アトピー性白内障」は、20~30代ぐらいの若い患者さんが多い点が特徴的です。
「糖尿病白内障」の場合も、若年者でも高血糖が続くことで、進行のスピードが速く、手術が必要になることもあります。「ステロイド薬による白内障」は、全身疾患で使用する内服薬、喘息などで使用する吸引薬などによるものが知られており、発症すると進行が早く、数ヵ月から1年程度で手術が必要になるほど視力が低下することが特徴です。いずれの場合も、症状が顕著に現れて受診し、白内障が発見されるというケースが多いです。年齢に関係なく、白内障の症状と重なる部分がある場合は、ぜひ早めの受診をおすすめします。


監修:佐藤 香
アイケアクリニック院長、アイケアクリニック銀座院院長。集中力を要する緻密な作業を得意とし、とくに最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア――「トータルアイケア」の提供を目指す。現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。著書に『目は若返る』『スゴい白内障手術』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。