「高血糖の人は白内障になりやすい」って本当ですか?
ご相談者様

私は血糖値が高いこともあり、アンチエイジング食品に関心があります。先日、アンチエイジングについてネットで調べていたところ、「血糖値が高いと、糖化(身体の焦げ)が起こり、老化物質がつくられて、それが蓄積されて白内障も起こる」というように書いてありました。血糖値が高いと白内障になるって本当でしょうか?
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今アンチエイジング医療や美容の分野で注目されている「糖化」のことですね。糖化とは、体内のタンパク質と血液中の余分な糖とが「熱」によって結びつく反応で、「AGE」という老化物質をつくりだします。AGEが血管に付着・蓄積すると脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まり、骨に蓄積すると骨粗しょう症のリスクが、目の水晶体に蓄積すると白内障のリスクが高まるといったように、糖化はいろんな臓器を老化させる一因となり、病気を発症するリスクにも関わってくるというお話です。
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実は糖化っていうのがいまひとつピンと来なくて…。なんだか難しいお話ですね。
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それでは身近な例でご説明しましょう。ホットケーキの素を使ってホットケーキを作るときのことを思い出してください。卵や牛乳と粉とを混ぜ合わせて焼くと、こんがりと焼き上がりますよね。表面の焦げは、卵や牛乳のタンパク質と粉末の素のなかに含まれている砂糖が、加熱されることで結びついてできたものです。実はこれも糖化なのですよ。
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あれが糖化ですか。
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人の身体のなかには10万種ものタンパク質があって、全身の内臓、血管や骨などで働いています。そのタンパク質と血中にある余分な糖が、体温で熱せられて結びつくことで糖化が起こり、AGEがつくられます。これが繰り返されることでAGEが徐々に蓄積されて、先程ご説明した循環器疾患や白内障などが起こる、というメカニズムです。
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身体のなかで起こる糖化を防ぐ手立てはないのですか?
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体内でつくられるAGEの量は「血糖値×持続時間」で表せるとされています。つまり高血糖の人ほど糖化が起こりやすく、より多くのAGEが産生されるのですね。糖化を防ぐためには、血糖値を余計に高めないようにすることが重要です。その方法としては、次のようなことが挙げられます。
①ダブル主食は糖質がたくさん入っているのでNG。ご飯のあとのラーメンなどが典型例。
②血糖値の高い状態が続くのはよくないので、間食はNG。スイーツや清涼飲料水は、食後のデザートとして摂る。運動の後に摂取してもよい。
③血糖値が急上昇してしまうので、早食いや大食いはNG。
④血糖値を安定させるために身体を動かすことを心がける。ジョギングなどもよいが継続するのが大変なので、掃除などの家事、徒歩通勤などの移動手段など、日常生活のなかでこまめに取り入れるのが効果的。 -
それくらいなら私でもなんとか実践できそうです。
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それは良かったです。抗糖化を意識した生活を送ることで、白内障を予防しましょう。


監修:佐藤 香
アイケアクリニック院長、アイケアクリニック銀座院院長。集中力を要する緻密な作業を得意とし、とくに最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア――「トータルアイケア」の提供を目指す。現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。著書に『目は若返る』『スゴい白内障手術』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。