クリニックによって眼内レンズの取扱数や種類が異なるのはなぜですか?
ご相談者様

クリニックによって取り扱っている眼内レンズの数や種類が多かったり少なかったりするのは、どうしてなのでしょうか?
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最近は「近く」も「遠く」も「中間」も見やすく、メガネフリーになる可能性のある3焦点眼内レンズを筆頭に、いろんな機能・特性を持った眼内レンズが出てきています。ところが仰る通り、白内障手術で用いる眼内レンズの取扱数は医療機関によって異なります。一般には、公的な健康保険が適用される「単焦点眼内レンズ」を中心に2~3種類のみを取り扱い、手術を行っているクリニックがほとんどです。その一方で、少数派ではありますが10数種類以上の取扱いがあるクリニックもあります。当院では単焦点眼内レンズのほか、20種類以上の多焦点眼内レンズを取り揃えています。
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2~3種類の取扱いが一般的なのに、先生の施設では20種類以上も用意しているのですね。なぜこれほど大きな差異が生じているのでしょうか?
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クリニックそれぞれの事情があるので一概には言えません。ただ、眼内レンズの取扱いを充実させるには、それなりの体制が必要です。保有している眼内レンズの種類やバリエーションには、そのクリニックの現状が映し出されているのではないかと思います。
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それなりの体制とは、具体的にどういったものなのでしょうか。クリニックの規模などでしょうか?
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多焦点眼内レンズを例にしてご説明しましょう。多焦点眼内レンズは「メガネいらずの生活」になるということで需要が高く、最近も色々な種類が出ています。先ほど、眼内レンズにはそれぞれの特徴があると申し上げましたね。実はそういった違いがあるために、レンズによって求められる知識や扱い方、設備までも変わってくるのです。体制が整っていないと多焦点眼内レンズの特性を活かしきれず、手術後のトラブルにつながる可能性さえあります。他にも医師の手術経験や、高額な機器・設備の導入、それらの継続的なメンテナンスなど、さまざまな点で課題が生じます。それらが障がいとなり、結果として数種類の取扱いにとどまっているクリニックが多いのではないでしょうか。
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やはり取扱いの少ないクリニックでは、自分に合った眼内レンズを選ぶのは難しいのですか?
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一概には言えませんが、少ない種類から選択せざるを得ない以上、最適な眼内レンズを選べる可能性は格段に低くなります。また、そうしたクリニックの一部には、医師側が目の状態次第で眼内レンズを決めてしまい、患者さん自身はどのレンズが自分に合っているのかという説明を受けられなかった…という事態も起きています。そもそも患者さんには選択肢が示されないのですね。
本来であれば、目の状態を考慮しつつ、患者さんの生活スタイルやニーズなどを丁寧にお伺いして、数ある選択肢の中から最適なレンズをお選びいただくことが必要です。実際に当院では眼内レンズを豊富に用意し、丁寧なカウンセリングを心がけて「最適な眼内レンズ選び」の実現に尽力しています。もちろん、それらを扱うに足る手術経験や知識を持つ医師が在籍し、最新機器を導入して高精度かつ安全性の高い白内障手術を実施しています。 -
ただ眼内レンズの種類が多いか少ないか、というだけではないのですね。クリニックごとの事情はあるにせよ、眼内レンズの取扱いが豊富なクリニックであれば、それだけ実力が高いということでしょうか。クリニックを選ぶ際にも、眼内レンズを検討するうえでも、とても参考になりますね。
まとめ
クリニックごとの事情があるので一概に言えません。一般的には、公的な健康保険が適用される「単焦点眼内レンズ」を中心に2〜3種類のみ取扱い手術を行うクリニックがほとんどです。一方、少数だが10種類以上を扱うクリニックもあります。ちなみに当院では、20種類以上の多焦点眼内レンズを配備。ただし、眼内レンズの取扱いを充実させるにはそれなりの体制が必要なので、保有数やバリエーションにはそのクリニックの現状が映し出されています。
具体的に言うと、扱うレンズによって必要な設備や知識・手術経験・メンテナンスなどが異なるため、可能であれば取扱いたいものの、様々な理由から数種類の取扱いにとどまっているクリニックが多いと思われます。なお、一概には言えませんが、取り扱うレンズ数が少ないクリニックの場合、必然的に選択肢が少なくなるため最適な眼内レンズを選べる可能性も低くなることでしょう。本来的には、丁寧なカウンセリングを経て患者さんの目の状態や生活スタイル等を考慮してベストな眼内レンズを選ぶべきです。当院では、取扱いレンズ数が20種類以上のため、最新機器を導入し高精度で安全性の高い白内障手術を受けることができます。


監修:佐藤 香
アイケアクリニック院長、アイケアクリニック銀座院院長。集中力を要する緻密な作業を得意とし、とくに最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア――「トータルアイケア」の提供を目指す。現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。著書に『目は若返る』『スゴい白内障手術』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。