忙しいため頻繁に通院できません。術後のドライアイは市販の⽬薬で対処できますか?
ご相談者様

近医で軽度のドライアイと言われ、しばらく点眼薬を処方してもらっていたのですが、多忙になりここのところ通っていません。白内障手術を検討しているのですが、術後ドライアイが進む可能性があると知りました。そうこまめに通院できそうにないので、市販の目薬で何とかしたいのですが…。
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ドライアイを改善するには、医療機関で処方された点眼薬の継続的な使用がもっとも有効です。軽度で気にならないからといって通院をやめてしまうと、徐々に乾燥が進み、仕事や生活に支障をきたすまで悪化する恐れもありますので、医師としては、ドライアイ治療は中断せず、通院することが望ましいです。
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そうですか…。白内障手術でドライアイが進むのはなぜですか?
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手術そのものがドライアイを進行させるわけではありませんが、手術中に使用する点眼麻酔や消毒薬、術後に使用する点眼薬などの影響で、ドライアイが悪化しやすい状態になるといえます。また、手術中は目を開けた状態になりますので、角膜が乾燥しやすくなります。それが術後に影響することも考えられます。
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市販薬で様子を見ず、通院するほうがいいのですね。
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はい。今、ドライアイであるのなら、白内障手術を受けた後も、ドライアイ治療は必要です。角膜の状態を調べ、乾燥を抑える治療をしたり、涙を安定させる点眼薬を処方したりします。ただ、どうしても通院間隔があいてしまうといった場合、ドライアイ用の市販薬を補助的に使うのはいいと思います。
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どんな市販薬がよいのでしょうか。
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防腐剤無添加の人工涙液が市販薬にあります。少ない涙を補って潤わせる作用があります。なお防腐剤は長期にわたる大量の使用で目を傷つける可能性が懸念されています。
清涼感のある目薬を好む方もいらっしゃいますが、継続的に大量使用すると、スッキリ感のもとであるメントールが眼球へのダメージとなる場合がありますので、長期間の使用はおすすめできません。 -
市販薬で使うなら防腐剤無添加の人工涙液ですね! わかりました。
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ただし、目が乾く感じやそれにともなう疲れ目、見えにくさが改善されなかったり、悪化するようなら、医療機関を早めに受診してくださいね。
まとめ
ドライアイを改善するには、医療機関で処方された点眼薬の継続的な使用がもっとも有効です。軽度で気にならないからと通院をやめると、徐々に乾燥が進み、仕事や生活に支障をきたすまま悪化する恐れもあるので、医師としてはドライアイ治療は中断せず通院し続けることが望ましいです。
白内障手術そのものがドライアイを進行させるわけではないですが、手術中に使用する点眼麻酔や消毒薬、術後に使用する点眼薬の影響でドライアイが悪化しやすい状態になるといえます。また、術中は目を開けた状態になるため、角膜が乾燥しやすくなることも要因と考えられます。どうしても通院間隔が空いてしまう場合は、ドライアイ用の市販薬を補助的に使うのがいいでしょう。
市販薬には防腐剤無添加の人工涙液があります。これは少ない涙を補って潤わす作用があります。ただ、防腐剤は長期にわたる大量の使用で目を傷つける可能性が懸念されているので、長期間の使用はおすすめできません。その点を理解したうえで市販薬を利用してください。


監修:佐藤 香
アイケアクリニック院長、アイケアクリニック銀座院院長。集中力を要する緻密な作業を得意とし、とくに最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア――「トータルアイケア」の提供を目指す。現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。著書に『目は若返る』『スゴい白内障手術』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。