花粉症で、よく目をこすってしまいますが、白内障手術後にその刺激で眼内レンズがズレてしまうことはありますか?
ご相談者様

スギ花粉症で、春先の1ヶ月半ほどは、痒みでつい目をこすってしまいます。また、スポーツが好きで、ジョキングを始めたばかりです。このように手で目をこすったり、走ったりするような刺激で、手術で挿れた眼内レンズがズレてしまうことはないのでしょうか?
-
手術から1ヵ月間は、力仕事や運動量の多いスポーツは、手術創が開く恐れがあるので控えていただきますが、おっしゃるような刺激で挿れた眼内レンズがズレてしまうことはまずありません。その点はご安心なさってよいかと思います。
-
よかった!ジョギングについては、悪影響を与えるようだったら止めても仕方ないかなとも思っていたのですが、止めなくともよいのですね。
-
手術後、1ヵ月ほど経てば再開してもかまいません。ただ目をこするクセはできればなくしたいですね。花粉量の多い年など、痒くて日に何回も強く圧迫する人もいらっしゃいますので、数百回~数千回の刺激になってしまいます。
-
やはり、挿入した眼内レンズがズレたり壊れたりすることはあるのですか?
-
それは、ほとんどありません。ごく稀ですが、アトピー性皮膚炎の方などが、目の痒みを抑えるために、繰り返し強くこすり眼内レンズが入っている水晶体のふくろが破れてしまう、あるいは、スポーツ時の外傷などで強い衝撃が加わるような場合に、ふくろを支えている筋肉の「チン小帯」がゆるんで切れてしまうケースなどです。
-
眼内レンズがズレたり、目の奥のほうに落下したりするとどうなるのですか? 自覚できる症状はあるのでしょうか。
-
まず見え方に変化が生じます。白内障手術で良好になったのに、急に見えづらくなって異常を感じる場合が多いですね。こうした異変を感じたら、ためらわずに手術を受けた眼科を受診するようにしてください。再手術が必要になるはずです。
-
わかりました。事故やアクシデントはやむを得ませんが、手術後、普通に暮らしている分については眼内レンズがズレるようなことはないようで安心しました。ありがとうございました。
まとめ
手術から1ヵ月間は、力仕事や運動量の多いスポーツは、手術創が開く恐れがあるので控えていただきますが、おっしゃるような刺激で挿れた眼内レンズがズレてしまうことはまずありません。身体を動かすスポーツは、術後1ヶ月ほど経てば再開しても構いません。ただ、なるべく目を擦るクセはなくしたいですね。花粉量の多い年など、痒くて日に何回も強く圧迫する人もいらっしゃいますので、あわせると数百回~数千回の刺激になってしまいます。
いずれも、挿入した眼内レンズがズレたり壊れたりすることはほとんどありません。ごく稀に、アトピー性皮膚炎の方が目の痒みを抑えるために、繰り返し強く擦り眼内レンズが入っている水晶体の袋が壊れてしまう事例。あるいは、スポーツ時の外傷などで強い衝撃が加わるような時に、袋を支えている筋肉の「チン小帯」が緩んで切れてしまう事例があります。眼内レンズがズレたり目の奥に落下すると、まず見え方に変化が生じます。こうした異変を感じたら、ためらわずに手術を受けた眼科を受診するようにしてください。再手術が必要になるはずです。


監修:佐藤 香
アイケアクリニック院長、アイケアクリニック銀座院院長。集中力を要する緻密な作業を得意とし、とくに最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア――「トータルアイケア」の提供を目指す。現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。著書に『目は若返る』『スゴい白内障手術』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。