眼内レンズはオーダーメイドが可能だと聞きました。どんな人におすすめなのですか?
ご相談者様

眼内レンズにはオーダーメイドのものがあると聞きました。どういった人におすすめなのでしょうか?
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特におすすめしたいのは、強度近視、強度乱視のある方です。
眼内レンズは、メガネやコンタクトレンズと同様に、「その人に合う度数」でなくてはいけません。その度数は、眼の奥行きの長さ、角膜のカーブの度合いなどを基に算出します。しかし、強度の近視や乱視のある人は眼球の形状がいびつになっているので、計測に誤差が出やすく、度数を合わせにくいのです。度数の合わない眼内レンズを使うと、かえって見えにくくなってしまいます。また、そもそも既製品の眼内レンズでは対応できないという理由で、手術を断るクリニックもあるのです。 -
そういえば、強度の近視と乱視を持つ友人から、白内障手術を断られた話を聞いたことがあります。そういうことだったのですね。
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ご友人にはぜひオーダーメイドできると教えてあげてくださいね。乱視矯正が可能なトーリックタイプもあるので、強い乱視のある方にも適しています。必ず度数ぴったりの眼内レンズができますよ。
度数の単位を「ディオプター」といい、通常の眼内レンズは0.5ディオプター刻みで作られています。しかし完全オーダーメイドの場合は0.01ディオプター刻みで作ることが可能です。つまり、既製品とオーダーメイドとでは、精度が50倍も変わるということですね。完全オーダーメイドで度数ぴったりの眼内レンズをつくった患者さんは、手術後に「感激した」とおっしゃいます。既製品では合わない方に限らず、より精度の高い見え方を希望される方にもとてもおすすめです。ちなみに、この完全オーダーメイドの眼内レンズは「LENTIS(レンティス) Mplus X」とよばれるものです。 -
通常の眼内レンズより50倍も高精度なのですね。それはすごいです。ただ、それだけ緻密なものとなれば、そのレンティスは保険診療ではないですよね?
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はい、自由診療適用となる多焦点眼内レンズです。保険診療外なので高額になります。しかし、強い近視や乱視があっても、遠くも近くも見えるので、手術後にメガネなしで生活できる確率が高い眼内レンズです。多焦点眼内レンズにありがちだった、夜間に街灯や自動車のヘッドライトがまぶしく見える「ハロー・グレア」の症状もほとんど起こりません。
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高い分、それだけのメリットがあるということですね。眼内レンズは一度入れると半永久的に使うものですし、自分にぴったりのレンズを選ぶことができるのはやはり魅力的です。私も前向きに検討したいと思います。
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ぜひ検討していただきたいと思います。最後にひとつアドバイスすると、高性能な眼内レンズの機能を最大限に引き出すためには、手術も精度の高いものでなくてはならない、ということです。医師の経験はもちろん、手術の機器もチェックしてくださいね。たとえば、最新のレーザー白内障手術で使われる「LenSx(レンズエックス)」。これだけでも高度な手術が可能となりますが、適切な切開位置とレンズの位置をガイドする「VERION(べリオン)」や、最適なレンズ度数をリアルタイムで分析してくれる「ORA(オラ)」などと組み合わせることで、非常に精度の高い手術を行うことができます。これらの最新設備を導入しているクリニックを選びましょう。
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わかりました。そのようにします。
まとめ
おすすめしたいのは「強度近視」「強度乱視」のある人です。度数の単位は「ディオプター」と呼ばれ、完全オーダーメイドの場合「0.01ディオプター」刻みで作ることができます。強い近視や乱視の方は、眼球の形状がいびつなため、度数が合わずかえって見にくくなるケースもありますが、完全オーダーメイドでは防ぐことが可能。完全オーダーメイドの眼内レンズは「LENTIS(レンティス)Mplus X」と呼ばれます。
オーダーメイドの眼内レンズは自由診療適用であるため保険適用外です。そのため、費用は高額。ただし、「強度近視」「強度乱視」であっても手術後はメガネなしで生活できる確率が高い眼内レンズであるため、悩みの深い患者にとっては魅力的です。
また、高性能な眼内レンズの機能を最大限に引き出すには、手術も精度の高いものでなくてはなりません。つまり、手術前には医師の経験はもちろん手術の機器チェックも入念に行うこと。例えば、最新のレーザー白内障手術で用いられる「LenSx(レンズエックス)」や適切な切開位置とレンズ位置をガイドする「ORA(オラ)」などを組み合わせて用いるような、最新設備を導入しているクリニックを選ぶことが推奨されます。


監修:佐藤 香
アイケアクリニック院長、アイケアクリニック銀座院院長。集中力を要する緻密な作業を得意とし、とくに最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケア――「トータルアイケア」の提供を目指す。現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌など、さまざまなメディアに取り上げられている。著書に『目は若返る』『スゴい白内障手術』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。